実験的にあれこれ


by para_noid
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

懐かしい香り

母方の祖父、祖母が亡くなってより数年。誰も住むことの無くなって久しい家を取り壊すこととなり、「好きだった絵を持ち帰りたい。」という母の意向で生家へ。


祖母存命の際は頻繁に訪れた家も、久々に訪れてみれば酷く寂れた印象。足を踏み入れてみれば、埃と黴で空気も澱んでおり……「人の住まない家は早く朽ちゆく」というのも確かだなと、至極納得の事。寂しいと言えば寂しいのだが、「年月と共に寂しさも悲しさも薄れている自分。」にかえって寂しさを感じた次第である。







さて、母の欲しがっていた絵を何とか車に押し込んだ後は、「どうせ壊してしまうのだから、好きな物を持って行け。」というのでテレテレと家捜し。簡単な小物類に目星をつけ、今度親族で集まる際に貰って良いかを尋ねて貰うことに。後は探検程度のつもりであちらこちらとひっくり返していたのだが……実に奇妙な場所から、6つの大きなガラス瓶に入った梅酒を発見する。


折りしも盆の入りの頃、両親と「祖母の造った梅酒は美味かった。二度と飲めないのが残念だ。」等と会話をしていた事もあり、「お盆だけあって、お婆ちゃんのお導きかも知れない!」という、メルヘンチック・マイ・マザーの解釈を採択。「お導きなれば仕方がない!」と、導かれし孫Aとしてありがたく根こそぎ頂くことに。流石に全部もアレなので伯母に一瓶進呈したが、惜しいことをした(最低)。


「飲めない可能性もあるけど、全部持って帰る。」と柄にもなくロマンチック回路に毒された息子案が渋々と採択され、絵と実用鍋と酒を積んで帰宅。恐る恐る蓋を開けてみれば、全ての梅酒は生きており、香りは芳醇、味もいい。父にも振る舞うが、「其処まで放置した酒は飲めぬ」と上品ぶるので、残り5本は独占状態に。

祖母の死に、不在に、悲しみも感じなくなって久しく……この後は思い出も静かに風化するのみと思っていたが、蓋を開けて嗅いだ匂いは祖母のもの。以後、この酒の尽きるまでは、飲むたびに祖母を思い出そう。飲み終わったら、梅酒を飲むたび思い出せるように努めよう。供養らしい供養もせぬ、身の流れ着く先も知れない最低ランクの孫ながら、せめてそれだけはやっておこう。
[PR]
by para_noid | 2005-07-17 01:34